【解説】仕事や人間関係で動けなくなったあと「自分を守り育てる時期」がやってくる
こんにちは、カウンセラーの武田です。繊細な人やHSPの方から、仕事や人間関係のご相談を承っています。(東京・お電話・スカイプ)
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今日のコラムは、人間の成熟過程について。
生まれ持った自分のまま、たくましく生きる途上で
「自分を守り育てる時期」
「自分の可能性を探る時期」
「決断」
の3つの過程を通ります。
今日は一番はじめの「自分を守り育てる時期」について。
人間関係や社会の中で傷ついたり、立ち止まったりして、以前のようには動けなくなった時ーー「自分を守り育てる時期」が、やってきます。
目次
「自分を守り育てる時期」が、ある
自分を守り育てる時期。この時期に突入するきっかけは人によって様々ですが
・仕事のストレスで体調を崩す
・休職する
・人間関係で傷つく
・大きな挫折を経験する
など、他者や社会のなかで傷ついたあと、特に顕著にこの時期が現れます。
以前のように「疑問を持たずに前に進む」「自分に鞭打って頑張り続ける」ことが、できなくなったとき。
心身が傷ついたり、へとへとになって、動けなくなる。ーーそれを端緒に、自分を守り育てる時期が始まります。
動けなくなるのは、自分自身からの強烈なNO
この時期は、人間関係や仕事、学校といった「外」との関わりをぐーっと減らして(心理的に距離をとって)、自分の内面と向き合いながら、自分で自分の心を育てていきます。
そのまえに、動けなくなる背景について書きますね。
お客様のお話を伺い、また自分自身の経験を振り返ってみて、「人間関係のいざこざ」「体調を崩す」などの具体的な事柄は、あくまできっかけなのだと思います。
多くのケースで、長いあいだ自分を抑えて無理をしている状況が、まず先にあります。無理がつづくなかで人間関係のいざこざが最後のひと押しになったり、大きく体調を崩したりする。消耗する状態が長いあいだ続いており、なにかをきっかけについにエネルギーが尽きてしまった、ということです。
つまり、この動けなさは「自分に無理をさせる生き方」に対する、自分自身からの強烈なNO!です。心と身体が「このままの生き方では、これから先、やっていけない」と声を上げているのです。
自分を守り育てる時期は、心と体を守ろう
前置き終わりまして、自分を守り育てる時期についてお伝えしていきます。
この時期は、心も体も動けない一方で、自分を頑張らせていた価値観が頭の中に残っているので、「心と体」と「頭」が対立やすくなります。
たとえば休職中であれば、心と身体は動けない状態なのだけど、頭では「働いていないなんて、だめだ。早く働けるようにならなきゃ」と考えたりします。「休んでないで、将来に向けて資格の勉強をしなくては」など、役に立つことをやろうとしたりも。
でも、頭でどんなに考えても、心と体のエネルギーが枯渇している状態なので、動けません。無理に勉強したりすると、ますます消耗します。
この時期には、安心できる場所で、心と体を守ってあげてください。
具体的には
・ひとりの時間をたっぷりとる
・心置きなく休む
が必要です。
「今まですごくがんばってきたんだな。しばらくは、人生の夏休みにしよう」
「めっちゃ元気!になるまでは、ゆるゆる過ごそう」
と、自分をねぎらって、存分に休ませてあげる。
人生の転機には、自分が思う以上にたくさんの時間と休みが必要なのです。
人が怖い、という思いが湧いてきたら
この時期、人に対して敏感になっている方もいるかもしれません。
「人が怖い」
「他の人と一緒の空間にいると落ち着かない」
「友達からの連絡にも返事をしたくない」
という気持ちがわいてきたら、無理せず、ひとりの時間を大切にしてください。
「友達からの連絡に返信したくないなんてダメ人間?」なんて思わず、「今、私は、私のことをしたいんだ」「ひとりでいたい」と、自分の本音を最優先にしてくださいね。
人が怖い。でも、誰かといたい。そんなときは
人が怖い、でも、誰かと少し話したい。そんなときは
・ブログやTwitterに自分の気持を書いてみる(匿名でOK!)
・ヨガやカルチャースクールなど、ゆるやかな習い事をしてみる
のもいいかもしれません。
いずれも、自分のペースで人と接触できること、疲れたら離れられることが、ポイントです。
習い事などお客さんの立場であれば、「行きたくなかったら行かない」という選択がしやすいです。また、インターネットは相手の様子を気にせず「みたいときに見る、疲れたら閉じる」ができるので、感覚が鋭いときにおすすめです。
※繊細さんは比較的、Facebookが苦手な傾向にあります。Facebookは次々に見知らぬ人の情報が飛び込んできますし、写真+文章で、情報量が多いのです。情報酔いする時は、ブログやインスタグラムのほうが、感覚に優しいですよ。
たくさん眠ってふらふら過ごすうちに「本当の自分」を思い出す
たっぷり眠る、お散歩する、自然の中でぼーっとする、絵を描いてみる……
存分に休み、その日の気分に合わせて過ごす。「なんかいいな」と思うことがあったら、ふらりとやってみる。
そんなゆるやかな時期を過ごすうちに、「そうそう、私はこんな感じだった」と、本来の自分を思い出します。
思い出した自分が、これからの人生の核になります。
心の内を表現するのも、おすすめ
この時期、もし気が向いたら、絵を描いたり、詩や日記を書いたり、ハンドメイド作品を作ったり、陶芸の体験教室に行ってみたり……、心に浮かんできたものを形にするのもおすすめです。
内面をとりだして表現する行為を通して、少しずつ傷が癒えていきます。
そして、心に潜り、絵・詩・陶芸・歌など、様々な手段で表現していると(=形にして取り出すと)、次第に「自分」が育ってきます。
心が育つと、外に出たくなる
こうやって存分に休み、自分を守り育てると、ふと「外の世界に出ようかな」「そろそろ人に会おうかな」と思う時がやって来ます。
一人でいるのが物足りなくなってきたり、表現したものを人に見せたくなったり、友達に連絡しようかなと思えたり。
守られることで(休むことで)「自分」が芽を出し、「なんかいいな」をやるうちに「自分」が育ちます。自分が育つからこそ、再び「外(=人々のなか)」に出ていけるようになるのです。
世界が優しく見える
自分が育った状態で行く「外」は、以前とは違って見えます。
「人って案外優しいな」と思えたり「この世界はいいところだな」と思えたりと、世の中のいいところが見えるようになっています。
自分を守り育てた先に、自分の人生が広がっていく
こうやって自分を守り育てると、次の段階:「自分の可能性を探る時期」に入っていきます。
可能性を探る時期については、また別の記事でお届けします。お楽しみに!
まとめ
まとめです。
・この時期は、たっぷりと休みが必要。自然と外に出たくなるときが来るから、それまでは安心して休んでね
・気が向いたら内面を表現してみるのもおすすめだよ
◆関連記事
・このコラムをマンガにしてみました
・休むことの大切さについては、こちらの記事をどうぞ。
・私自身のこと。私もまた、自分を守り育てる時期を通ってきたひとりです。
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