人生の転機の過ごし方:無為な時間を過ごすことで生き方の土台ができる

今日のコラムは、転職など、生き方が変わる時期の過ごし方について。無為な時間をたっぷりとってね、というお話です。
 

生き方が変わる。その現れとして、仕事を選び直す

 
相談に訪れるお客様は、多くの方が「生き方が変わる時期」にいらっしゃいます。
 
適職診断を受ける理由は、「自分に合う仕事を知りたい」「強みを知りたい」といったことなのですが、「仕事」はあくまで表面に現れた出来事にすぎません。
 
 
・置かれた職場環境に合わせてひたすらがんばるのではなく、自分に合う仕事を探そうと思った
・苦手なことを克服し続けるのではなく、強みを活かして働きたい
 
一見仕事の話のようにみえるこれらは、実は生き方の話。
 
「与えられたものに合わせて自分を作り変える」という相手本位の生き方が終わり、「自分を基準に、自分に合うものを求めに行く」という自分本位の生き方へ変わる。
 
これまでとは生き方を変える。その現れとして仕事を選び直したい、ということなのです。
 

本心が育ってきたサイン。いまの仕事から心が離れる

 
「本当はもっとこうしたい」という思いが育ってくると、これまでの生き方から心が離れていきます。仕事では

・今の仕事の合わなさを感じる
(もうずっと前から気づいてはいたけれど、いよいよ誰かに相談しようという気になる)
 
・上司や同僚にイライラし始める
(これまでは反発したりしなかったのに!)
 
・仕事に疑問を抱く
(これをやり続けても、同じことの繰り返しなんじゃないか?)

などが起こります。
 

生き方が変わるには、スピードダウンが必要

 
生き方を変える、つまり心が方向を変えるには、時間が必要です。明日から新しい生き方に切り替えるというわけにはいきません。
 
全力で100メートル走ったあと急には止まれないのと同じで、これまでの生き方をスピードダウンする時間が必要です。数日ー数ヶ月の休みや、心の中で少しずつ今の仕事の比重を下げていく時間が必要なのです。
 
これまで全力疾走してきた人ほど、スピードダウンするには長い時間がかかります。
 

無為のための休みが必要。有意義とは一線を引く

 
ですので、生き方が変わる時期の方には「一度ゆっくり休んでくださいね」とおすすめしています。ここでいう休みは、本当の休みを指します。無為に過ごすことを大事にしてほしいのです。
 
仕事の忙しさにかかわらず、今までの人生で「心」が忙しかった人は、無為の休みを怖がります。
 
仕事を休むことそのものにも抵抗があるし、休みをとっても有意義なことをしようとするのです。
 
「資格の勉強しようかな(本当はやりたくないけど)」
「海外ドラマみようかな(本当はマンガ読んだり存分に眠ったりしたいけど、そのあとの時間を無駄にした感じに耐えられない。海外ドラマなら英語の勉強になるから、許容範囲かな……)」
など。特に「海外ドラマみようかな」は、よく聞きます。
 
 
有意義に過ごさねばという考えは、人生の転機においては、妨げです。
 
「有意義に過ごす」は、他人本位の考え方です。
 
有意義の裏にある「役立つ人間であれ」「時間を無駄にするな」「将来のために」などは、今の自分の幸せよりも「世間からの評価」を優先する考え方なのです。
 
もっと幸せに生きる、もっと自分のままで生きる、そのために生き方を変えようとしています。その転機に有意義を持ち込むことは、自分の生き方に、引き続き世間からの評価が混在するということです。
 
「有意義に過ごす」という視点が入ってしまうと、宝物が雑草に覆われるかのように、本当の自分の姿、自分にとって幸せな生き方が見えづらくなるのです。
 

無為に過ごすことで、生き方の土台ができる

 
ということで、転職を考えるとき、つまり生き方を変える転機にある方は、ぜひ、無為に過ごす時間をたっぷりとってください。
 
無為に過ごすとは、たとえば
・目的なく街をフラフラする
・ただ寝る
・ペットとたわむれる
・なにをするでもなく、家族とただ一緒にいる
などです。
 
意味などなく、せっせと時間を埋めるのでもなく、休みを休みとしてただ過ごす。
 
そうやって無為に過ごしているうちに、やりたかったことをふと思い出したり、「これいいな」と思うものを見かけるようになります。なんとなくでも「いいな」と思うものがあれば、ぜひ、やってみてください。
 

1.無為に過ごす。
2.休んでいる状態で心が反応したものを試す

 
この繰り返しによって

・自分にとって昔から大切だったことを再認識したり
(「こうやってペットといる時間が大事だな」など)

・これからの生き方で大切にしたいことに気づいたり
(「地道に生きるって大事だな」など)

します。
 
 
仕事や社会貢献などを「外」だとすると、この無為の期間に、新しい生き方の土台となる「家(心の家。ホーム)」が作られるのです。
 

家があるから、外に行ける

 
心なかに「家」があって初めて、安心して「外(仕事やコミュニティ、社会への貢献活動)」に出かけることができます。

なにかあっても自分自身を見失わず、帰ってこれる。
ガーッと働いても、心を休めて、また元気に出ていける。

その安心感があるから、これまでと似たり寄ったりではない、自分にとってチャレンジングな仕事や働き方を選べる。

「こんな感じで働けたらいいのに」とうっすらどこかで思いつつ、これまで選べなかった仕事が、現実のものとして視野に入ってくるのです。
 

まとめ

 
・長めに休んでね。(数日以上〜)
・意味のない時間を怖がらず、無為に過ごす時間を、たっぷりたっぷり、たーーーーっぷりとってね。
 
幸せへ向かうこと、心から応援しています^^!
 


 

※補足1:無為の時期は、ただ楽しむ

 
無為の時期にやってみたことを、無理に仕事に結び付けなくて大丈夫です。
 
ペットとたわむれたからといって、ペットショップに転職しなくていい。楽器を触りたいと思ったからといって、音楽で生計をたてようとしなくていいのです。
 
ただ楽しんで、自分にとって大事なこと、生きる上で欠かせないことを再認識する時期として、とらえてください。(もし本当に仕事にしたいものが見つかったら、もちろん挑戦してみてくださいね)

 

※補足2:いいなと思ったら、試しにやってみよう

たまに「ストレスになることをやめたら、やりたいことがみつかりますか?」と聞かれることがあります。実のところ、やりたいことは自動的にはやってきません。

目についたことをやってみる、意味がないと思ってもいいなと思った場所に行ってみる、などの「行動」が必要です。100発100中を狙わなくて大丈夫!「試しにちょっとやってみる」でいいのです。

どうにも動けないときは、エネルギーが枯渇しているのかもしれません。まずはひたすら眠ってみてください。

 


 
★お客様のご感想
・「仕事は修行と苦行」を脱したNさん。
「ピンとくるお仕事を見つけ、採用内定が決まりました!」
 
★関連記事
・「変わらなきゃ」という考えそのものが、変わる。
・上手な悩み方。一人の時間を大切にしつつ、心の風通しを意識しよう
・人生や仕事の悩み。転機でうまくいくひとほど、いろんな人に相談しているね