自分のニーズを上手に伝えるには? 「思ったことを相手に言えない」「不機嫌になってしまう」ときに

公認心理師・HSP専門カウンセラーの武田友紀です。
HSP・繊細さんのカウンセリングをしています。
【森セッション】【適職診断】

今日は「自分のニーズを上手に伝えるには?」というお話です。
話し方の本は世の中にたくさんあるので、この記事では心理面を書いていきますね😊

「思っていることを相手に言えない」という悩み

相談者さんから

「思っていることをなかなか相手に言えない」
「こうしてほしいって言葉にできなくて、不機嫌になってしまう」
「パートナーにうまく言えなくて、『怒って泣きながら伝える』みたいなことになる」

とご相談いただくことがあります。

時には

「親は不機嫌な人だった。ずっと『親みたいにはなりたくない』と思ってきたのに、ある日、ささいなことで家族に不機嫌な態度をとってしまい、そんな自分にショックを受けた」

とお話いただくことも。

これ、けっこう衝撃が大きいんですよね。
イヤな態度をとられる側の気持ちがわかるだけに、自分を責めたり愕然としてしまったり(←私も経験あります)。

ということで、一体何がどうなっているのか、仕組みからみてみましょう😊

※以下、親子関係の話が出てきます。
・親の話はしんどいな、という方
・サクッと方法だけ知りたい方
・親子関係は全然問題ないぜ、という方
「もくじ:新しいコミュニケーション方法を学んでいこう」まで読み飛ばしてください〜。

不機嫌になるのは、なぜ?

・不機嫌になる
・怒りながら伝えてしまう

というのは「言いたいことを溜め込んで、言えなくて、爆発している」状態です。

自分のニーズに気づけなかったり「このくらい自分でなんとかしなきゃ」と思ったりして、なかなか相手に言えないんですね。

自分でも知らないあいだに「これはイヤなのに」「こうしてほしい」が溜まっていて、気づいた時には爆発寸前。

相手のちょっとした言動をきっかけにドカンと爆発して、態度や怒りとして出ます。

図にするとこんな感じ。上が怒り、下が我慢です。

※著書「雨でも晴れでも繊細さん」の挿絵を一部アレンジしています。

こうした場合、取り組むべきは怒りや不機嫌ではなく、その手前の「我慢」のほうです。

我慢が減ればそもそも爆発しませんからね😊✨

↓平和な日々。我慢が減ると、イヤなことがあってもムッとするくらいで済みます。

理想をいえば、我慢しすぎる前に言えたらいいんですよね。明るく「もっとこうしてほしい」「それはいやだな〜」って。

ところが、慣れないうちはなかなか難しい。

これは「知らない言語を、いきなりは話せない」みたいなことなんです。

育った環境は、どんなコミュニケーション方法だったか?

そもそも、コミュニケーションは後天的に学ぶものです。
育った環境の中で、身近な人の様子をみながら「なるほど、そうするのか」と学んでいきます。

「親みたいになりたくなかった」とおっしゃる相談者さんの場合、親が家でどういうコミュニケーションをしていたかというと、こんな感じです。

・なにかあると不機嫌な態度になって「あなたのせいよ」と全身でアピールされる

・遠回しにしか言ってこない、暗に要求される。こちらが察し続けないといけない

・説明もなくいきなりキレる。なにが原因かわからない

これらは態度によるコミュニケーションです。言葉によるコミュニケーションではありません。
「不機嫌」「暗にほのめかす」「いきなりキレる」みたいに「態度でわからせる系」です。

相談者さんたちは

「自分のニーズを明るくはっきり言葉で伝える」
「相手の状況も考えながら、穏やかに頼む」

みたいな明快なコミュニケーションのなかでは育っていません。
言葉で丁寧にニーズを説明してもらったり、自分のニーズを受け止めてもらった経験が少ないんです。

明るくはっきり言葉で伝える感覚が、つかめない

そうなると、いざ自分のニーズを伝えたいと思った時、出し方がよくわかりません。

「明るくはっきり言葉で伝える」というのが「アラビア語」みたいなものなんですね。

「ちいさいころから日本語で育ってきたから、いきなりアラビア語を喋れない!」みたいなものです。

何をどう言えば安全なのかがわからないまま、気持ちがあふれてきます。

「親と同じような態度をとってしまって、そんな自分に大ショック」となったときは、自分を責める前に、

「なるほど、育ってきた環境がそういうコミュニケーション方法だったんだな」

と思ってみてほしいです。
そして、親みたいな言動をしないように踏ん張ってきた自分を、心底ねぎらってあげてほしいです。

新しいコミュニケーション方法を学んでいこう

新しいコミュニケーション方法は学んでいけます。大人になってからでも全然大丈夫です😊✨

ただ、新しい方法だから1日では習得できなくて、ちょっとずつ学んでいくことになります。

「自分のニーズを上手に伝える」って、どうやるの?

「上手にニーズを伝える」のなかみを分解すると

1. 自分の状況を把握する
2. 自分のニーズを心の中で言語化する
3. 相手の状況をなんとなくみる
4. 穏やかな表現に変換して、依頼する

という4ステップになっています。

なかなか高度でしょう?

これをリアルタイムで瞬時にやろうと思ったら、やっぱり練習が必要です。

だから、すぐにできなくても全然大丈夫。
「新しいことに取り組もうとしてるんだな」と思っていてくださいね。

(ここまで、よくやってきたぜ…!)

余談ですが、本屋さんにいくと会話の本がありますよね。「上手な頼み方」とか「クッション言葉をつけましょう」とか(私も書いたことあります)。

あれは主にステップ4.の話です。
「頭ではわかるけどできない」
「そんなの理想論だよね」
となるときは、ステップ1−3.をすっとばしているかもしれません。

ニーズを伝えるポイント

さて、相手に伝えるときに重要なのは「2.ニーズを心のなかで言語化する」です。

「これまで、自分が我慢することで関係を穏当なものに保っていた」
「イヤ・キライ・やりたくないみたいなネガティブな感情は、持ってはいけないと思っていた」

という場合、「こうしてほしい」というニーズが芽生えたそばから打ち消す気持ちがでてきます。

「これくらい自分で解決しなきゃいけないのでは?」
「こんなことを頼んだら、弱いと思われたり馬鹿にされたり、よくないことが起こるんじゃないか」
「関係にヒビが入ったらどうしよう」

などです。

つまり、ニーズを持つこと自体がちょっと怖いんですよね(^^;)

ポイント1.自分の気持ちにOKを出す

「こんなことを思っていいのかな…」と思いながら相手に伝えようとすると、いろんな感情がくっついてきます。

「わがままだと思われるんじゃないか?」
「関係にヒビが入ったらどうしよう」
「私が悪いの?」

などです。すると怖くて言えなくなったり、泣きながら伝える、みたいになります。(それでも伝えられただけで十分偉いです。よくがんばった!)

やってみてほしいのは「相手に伝える前に、自分自身でその思いにOKを出しておく」ことです。

相手がOKを出してくれるかどうかは、その後の話。

まずは自分自身で「その気持ち、あっていいよ〜!」と受け止めます。

カウンセリングでは武田も一緒に受け止めますし、ひとりでやるときは

・相手に伝える前に、紙に書き出す
・ひとりでゆっくり考えてみる

などして自分のニーズを眺めてみてください。

「こんな状況だし、こうしてほしいって思うのはそりゃそうだよな〜」と思えると、相手にも伝えやすいです✨

自分のなかでOKが出ているといろんな感情がくっついてこないので、明るくさらっと
「こうしてほしいんだー😊」
って伝えることができます。

ポイント2.体を落ち着かせる(=落ち着きモード)

ふたつめのポイントは、相手に伝える前に体を落ち着かせること。
落ち着けたらコミュニケーションはほとんど解決、といってもいいくらいです。

体が落ち着くと自分の状況やニーズをつかみやすいし、相手の様子もよくみえます。

さきほどのステップをもう一度載せますね。

<相手にニーズを伝えるステップ>

1. 自分の状況を把握する
2. 自分のニーズを心の中で言語化する
3. 相手の状況をなんとなくみる
4. 穏やかな表現に変換して、依頼する

1−3.をやるには、体を落ち着かせること(=落ち着きモード)が超重要なんです。

「相手が自分をどう思っているのかが気になる」
「これ言っても大丈夫かな、ってすごく考えながらしゃべっている」

というときは、体が緊張しています。(=緊張・警戒モード)
アンテナが外(相手)を向いていて「自分がどう思っているのか」がよくわからないんです。

ですので、カウンセリングでは「人と一緒にいても落ち着いている感覚」(落ち着きモード)を繰り返し体験してもらいます。
(実際の様子は、新刊「ある日、夫が出て行った」をご覧ください〜)

「落ち着きモード」で話すと、ラクだし楽しい

最初は慣れなくても、ひとつひとつステップを踏むと「落ち着いてニーズを伝える」ができるようになります。

Sさんからのご感想をご紹介しますね。

今までは自分の好みを言えなかったそうですが、「好みを伝えることはなんの問題もなく、大丈夫」と思えるようになったそうです😊

※掲載許可をいただいています。

Sさんのご感想

「落ち着きモード」でいることを意識して職場に出社したら、色んな人が私の為にドアを開けてくれました!

いつもだったら「えっ、開けなくていいよ。自分で開けられるし」と思うところを、「ありがとうございます!」と愛想よくお礼を言ったからでしょうか? トイレから戻る度、4,5人がドアを開けてくれました(笑) 

周りの人が持っている厚意を受け取っていなかったのは私だったのだと気付かされました。

お店の店員さんとも、落ち着きモードの友人のマネをして話したら、いつもよりずっと楽しく話をすることができました! 

苦手だった大学の友人達とも、自分が落ち着きモードでリラックスして話すことで、上手く楽しく話せるようになりました。

好きなことを「好き」と言うのが自由にできるようになりました。

昨日は行きつけの美容院に行ってきたのですが、好みでないことを「嫌」「キライ」と言えるようになりました。

今までは「嫌」と言ってしまったらその後も気まずい雰囲気になると思って言えなかったのですが、自分の好みを伝えることはなんの問題もなく大丈夫で、他の話題になればまた楽しく話せると自然に思うようになりました。

まとめると、自分と他人に対する信頼感が増してきて、他人の前で自然体(和らいだ自分)でいることができるようになってきたのだと思います!
最近、人間関係が楽しくなってきています!^_^

穏やかで率直な会話が「第一言語」になっていく

「私はこうしたい/相手にこうしてほしい」って思ってもいいんだ。

ニーズを伝えることで気持ちも安定するし、思っていたよりもずっと、受け取ってもらえることのほうが多いんだ。

こういう経験をするうちに、穏やかで率直なコミュニケーションが第一言語になっていきます。

もちろん、いつでもOKをもらえるとは限りません。相手に「できない」と言われることもあります。

でも、それは自分のせいではなく「タイミングや条件が合わなかったんだな」と思えるようになっていきます。

それに、ニーズにOKをもらえるかどうかよりも、相手が向き合ってくれたかどうかの方が重要なんです。

大事なひとに向き合ってもらえると、相手への信頼が育っていきます。ひとりで我慢していた時よりもずっと、仲良くなれるんです✨

新しい方法のほうがうまくいくし、気持ちがいいから、古いコミュニケーション方法(不機嫌や怒り)は徐々に使わなくなります。

すこしずつ入れ替わるように、穏やかで率直な会話が自然になっていきますよ😊✨

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HSP・繊細さん|雑談が苦手な人向け、コツと練習方法(前編)

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