幸せと、生と死。死ぬことを知りながら出会い、生きている

 
最近「幸せ」「生と死」について考えています。
 
幸せについて考えるうちに「生きるってなんだろう」と考えるようになり、
 
やがて、「死をどうとらえるか」を考えるようになりました。
 
幸せ・生・死……と全部つながっていて、たどっていくと死まで行き着くんだな、と思います。
 
 

 
 
もう2ヶ月ぐらい前、東京がロックダウンされるのでは、と噂があったころ。
 
当時は東京の緊急事態宣言がこんなに自由度のあるものだとわからなかったので、「2才児を抱えて東京にいて大丈夫だろうか、これからどうなるんだろうか」と不安があったのでした。(今は平気です)
 
不安が高まったとき、ある人生の大先輩に相談したら、その方はどーんと構えて
 
「最悪、死ぬだけだから」
と笑っておっしゃったんです。
 
「(大事なのは)肝が座ってるかどうかだよ」と。
 
 
そのとき、「あれ?」と感覚が宙に浮いた感じがしました。
 
不安に飲まれそうになっていたけれど、
死を「誰にでも訪れるもの」として考えられるだけの距離が空き、
 
「そうだよなぁ」「あれ、なにがあんなに怖かったんだろう……?」と、わからなくなったのです。
 
それ以来、生と死について考え、本を読んだり人の意見を聞いたりしています。
 
 
 
本格的に考え始めたのは最近ですが、生と死の関係が頭をかすめるようになったのはもう少し前です。
 
約一年前に観た映画「メッセージ」。
 
こちらが、私の死生観にかたちを与えたといいますか、生と死のつながりを考えるきっかけになりました。
 


 
<あらすじ>
突如地上に降り立った巨大な宇宙船。
 
謎の知的生命体と意思の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、物理学者イアン(ジェレミー・レナー)とともに、“彼ら”が人類に何を伝えようとしているのかを探っていく。
 
そして、その言語の謎が解けたとき、彼らが地球にやってきた驚くべき真相と、人類に向けた美しくもせつないラストメッセージが明らかになる――
 
amazonより

 
SFなのですが、謎の知的生命体とのコンタクトの裏で、言語学者ルイーズの内面が静かに流れていきます。悲しい未来を知りながら選択できるのか、という、決断の物語でもありました。
 
 
「メッセージ」を観て思ったのは、
 
「人間は、死ぬことを知りながら出会い、生きている」ということでした。
 
 
SF映画ですし、主人公は特殊な状況に置かれているけれど、映画の中での主人公の決断は、私たちにも共通するもの。
  
いつか別れがくると知りながら、大切な人に出会い、一緒に生きている。そのことは、私も同じ……、本当は人間はみなそうなのだと。
 
 
この映画をきっかけに、
死は本番ではなく、それまでの「生」が本番なのだ、と思ったのです。