Q &A.『感情を感じ切るといい』というのは本当ですか?
こんにちは、武田です^^
今日はよくあるご質問について書いていきますね。
「前のカウンセラーさんに『感情を感じ切るといい』と言われたんですけど、本当ですか?」
と聞かれることがあります。他のカウンセリングに通った後で、森セッションにいらっしゃった場合ですね。
こういう質問がでるとき、
「感情を感じようとして当時の状況を思い出すと、しんどくて……」
「あまり思い出したくない。しんどかった記憶をわざわざ掘り起こして感じろってことですか?」
「涙が出るばっかりで、自分がなにを感じてるのかもわからない」
「前のカウンセラーさんに、当時なにがあったのかを詳しく聞かれて、大泣きしながら話した」
などの言葉が続きます。
うむぅ。
「感情を感じ切るといい」というのは、間違いではないけれど、大事なポイントが抜けていましてね。
正確には
【受け止められる範囲で】感じると、そのときの感情が消化されてラクになる
です。
「受け止められる範囲」というのは、「怖すぎず、ある程度の落ち着きを保った状態で」という意味です。
落ち着きを保ちながら感情を受け止めてあげると、感情が消化されてラクになります。
そのためには、しんどい感情に いきなりどぷんと浸かるのではなく、
・安全に
・少しずつ
・ゆっくりと
感情量をコントロールしながら感じていく必要があります。(カウンセリングでは、このコントロールは、カウンセラー側がリードして行います。)
だから、
・話していて大泣きしてしまう、パニックになる
・どんどんヒートアップしていって、全然冷静になれない
・怖すぎる
というのは、感じている感情の量が多すぎるんですね。これは「感情に巻き込まれた状態」であって、安全ではないですよ…!
なぜ「受け止められる範囲で」が大事なのか?
理論背景を書きますね。
下図は、森セッションでよく使っている、ポリヴェーガル理論の図です。
(初めてみた! という方には申し訳ないです。詳しくは、イラスト版「繊細さんの本」、「これって本当に繊細さん?と思ったら読む本」を読んでみてね…!)

怖い・しんどい感情を無理に感じようとすると、神経系がわーっと興奮して上に上がり、耐えきれなくなってシャットダウンがかかります。
シャットダウンがかかると
・思い出した後にすごく落ち込む
・しんどくなる
・体調が悪化する
・ぼーっとして現実感がなくなる
などが起こるのですが、こうなると感情を消化できません。むしろ思い出す回路が強化されてしまいます。(再トラウマ化)
なので、思い出すのがしんどい感情を扱う時は、緊張度が上がりすぎないように・シャットダウンを起こさないように、慎重に扱っていく必要があります。
カウンセラー側に、感情量を調節する技術が必要です(=トラウマ療法ができるカウンセラー)。
ポリヴェーガル理論とトラウマ療法ふまえて、森セッションでは、感情を安全に扱うスキルを相談者さんと一緒に練習していきます。
感情を扱うスキルは、水泳みたいなもの。
方法を学ぶと、みなさんできるようになります。半年くらいでずいぶん上達します。
(上達すると、気分のアップダウンが穏やかになり、自己批判が減って、自分が自分の味方でいられるようになります^^)

そんな森セッションでも、いきなり強い感情は扱いません。
過去のすごくしんどかった感情を扱うのは、何度か練習して、日常のちょっとした「しんどい」を扱えるようになってからです。
自宅で練習してくださる相談者さんは、変化がすごく早いのですが、それでも
「しんどい・怖いと思ったら無理にやらないでね。そういう強い感情は、森セッションで武田と一緒にやろうね」
とお伝えしています。
過去のしんどい感情というのは、荒れ狂う台風の海みたいなものです。
ひとりで飛び込むのは、ちょっと待った!
「怖い」「いやだ」「しんどい」と思ったら、その感覚を信じて。今はやめておこう。
効果があるかもしれないからって、無理やり飛び込まないで。
台風の海に挑むのは、
・まずは泳げるように(=感情を扱えるように)プールで練習して
・穏やかな海で練習して
・泳げる体力と「これ以上は危ない」ってわかる判断力がついてから
にしよう。
しっかり救命胴衣つけて、レスキュー隊もつけて(=カウンセラーと一緒に)、安全確保してから挑もうね!
ご安全にねー!!
(必要がある方は、森セッションで一緒にやってきましょう〜!)
<補足>
※「後医は名医」という言葉があります。「最初に診察した医師(前医)よりも、後から診察した医師(後医)の方が、より正確な診断や適切な治療ができるため、名医に見えてしまう」という格言です(by Google AI)。
カウンセリングでも同様です。前のカウンセラーさんに相談したことで気持ちの整理が進んだり、自分の状況がわかったりして、そのおかげで次のカウンセラーはある程度進んだ状態からスタートできる、ということが起こります。だから、前のカウンセラーさんを否定するものでは全くないです。
※前のカウンセラーさんと相性が合わなかった場合も、自分を責めたりしなくて大丈夫です。「なんとかしたい」と思ってカウンセリングを受けたんだものね。だから、自分を「しんどい中、よく動いたね。えらかったよ」とねぎらってあげてくださいね。
※感情を安全に扱う方法をブログでも書けたらいいんだけど、さまざまな事情から、書けないことが多すぎましてね……(^^;)。書けることは本にまとめたので、まずは以下の2冊を見ていただけたらと思います〜! ポリヴェーガル理論についても以下の2冊をどうぞ。

