宝石みたいな詩の本と、おしりたんてい
保育園のお迎えのあと、娘と本屋さんへ。
私は、このあいだ本屋さんで見かけて、ほしいほしいと思っていた詩の本を。
娘は、いま彼女のなかでブームの「おしりたんてい」を。
家に帰り、娘と遊びながら
彼女の意識が私以外を向いた隙に
本を手にとる。
座ってじっくり読みたいけれど、気持ちがはやり
こんなに心躍る本は久しぶりだ、と
慌ただしくソファの肘掛けに腰掛けて
詩の世界へ。
人間の矛盾をそのまま内包して
自意識でコーティング。
宝石のようなお菓子、に見せかけた、宝石だ。
風景や感触ははっきり残るのに、直前に読んだはずの言葉を覚えていられない。
何度触れてもキラキラ光って、なくならない。
詩の本は、いくつか読んできたけれど
これほど何度も読みたい詩は
フレーズを覚えてしまう詩は(そして一部の言葉以外、全く覚えていられない詩は)
これまでなかった。
先に進むことを惜しみ
美しいお菓子をかじるように、少しずつ
ページをめくる。
娘が眠ったあと
美しい詩の本と「おしりたんてい」が
リビングのテーブルに並んでいた。
子どもの人生と、私の人生が
違うスピードで今日を走った。
別の人間が、いま一緒にいて
同じ家で暮らしていることの
奇跡を思う。