人間らしく生きることで「いいもの」を感じ取れる
長野県のお屋敷に泊まって、油絵を描いてきました。今日は、そのなかで感じたことを書いてみようと思います。
人間らしく生きるにつれて、「いいもの」を慈しむ人間の良さを感じられるようになった、というお話です。
絵「浄化」2018.12、キャンバスに油絵、サイズ274×274mm
長野県の別所温泉、旅館「花屋」にて制作。
ここ最近、「大切に守られてきた場所の気配」が、わかるようになってきた気がします。
静かで大切にされている空間のなかにいると、自分自身も一緒に、大切に包まれる感じがあるのです。効率主義から距離をおいて、自分が「人間」に戻っていくような気持ち。息を吹き返す。
今回滞在した「花屋」は大正時代に建てられた旅館です。(旅館というより「お屋敷」と呼びたいぐらいに良い!!)
庭をのぞむ長く閑静な渡り廊下や、光を取り入れるガラス模様の美しい大理石のお風呂、お部屋の中のビロード張りの椅子……。建物のほとんどが文化財になっているそうです。
この写真は花屋公式HPよりhttp://hanaya.naganoken.jp/kannai.html
空間や物の良さが、昔だったら、おそらくもっと「わからなかった」だろうと思います。
食堂のランプひとつひとつに装飾がほどこされている(!)なんて、昔だったら「ふーん」と流したかもしれない。「掃除が大変だろうな」なんて思ったりして。
「成果! 成果!」と渇望して追われるように生きるのではなく、その場の雰囲気をふわ〜〜〜っと味わったり、文字通り食事を味わったりするようになって、「大切にされているものの気配」を、感じられるようになりました。
人間らしく生きるようになって、いわゆる「いいもの」の良さが、わかるようになった。それは、「いいものを生み出す人間の良さを、感じ取れるようになった」ということだと思います。
そして、こういう空間を維持していく人々がいて、こういう空間を支持する人々(お客さんたち)が、いま同じ時代に存在しているのだということに、ほっとします。
いいものを味わうほどに「人間って、すごいな。人間って、いいな」と思う。人間の良さと、人間の生み出す「いいもの」の良さを味わって生きることは、人間として生きる醍醐味のように思う。これからも味わっていきたいなと思います。