憧れて進む(2)憧れは、自分の人生を生きる鍵になる

 
誰かの姿をみて「いいなぁ!」と憧れることは、自分ならではの人生を生きる鍵になるのだと思います。
 
「あの人みたいになれたら」という憧れは、ときに揶揄されたり、自分でも「そんな大それたことを言って」と打ち消してしまうけれど、実は大切なのだと。
 
 
モノや情報に囲まれているからか、カウンセリングの場では「あれがほしい」「これがほしい」といった物欲を聞くことはほとんどありません。
 
モノではなく「自分の力を活かして働きたい」「心穏やかに暮らしたい」などの状態が、望みとして聞こえてきます。これらは「欲望」というよりも「憧れ」という表現のほうがしっくりきます。
 
著書「繊細さんの幸せリスト」にも書いたことなのですが、人生には
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1.痛みを治癒する時期
2.ゼロ地点
3.愛や喜びを探究する時期
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の3つの時期があって、人間は山あり谷あり3.へ向かって歩んでいます。
 
「憧れ」が効くのは、ある程度痛みを治癒したあと、2.3の時期なのだろう、と私は考えています。
 

 
 
「1.痛みを治癒する時期」は、文字通り、マイナス状態をゼロにしていく時期です。
 
今いる状況がつらすぎるなど、マイナス状態が強い場合には、憧れだと今の自分から遠くて、変化の動機になりにくい。むしろ「こんなのはもうイヤだ!」という現実的な痛みのほうが、変化の動機になります。
 

 
生き方を変えるには一筋縄ではいかなくて、転職や人間関係の見直しなど多くの労力が必要です。だから、「つらいけど、まぁなんとかなってる」という状況だとなかなか踏み切れない。
 
「あの人いいなぁ」というぼんやりした憧れだけでは、動機として弱いのです。
 

 
「こんなのはもうイヤだ!」とエンジンをふかして、しんどい状況から脱出すると、ぽっかりと「2.ゼロ地点」へやってきます。
 
「これからなにをしようか」と考え、自分のやりたいことを始めて、どんどんエネルギッシュになっていく。
 
 
 
そうして「3.愛や喜びを探求する時期」へたどりついたあとも、これで一生安泰、というわけではありません。
 
ある程度、自分に合う仕事や人間関係、生き方にシフトできたとしても、人間はどんどん成長していくから、長く同じ状態にいると飽きてしまう。
 
おおむねやりたいことをやり、好きな人たちと時間を過ごしている。それでも「これからもずっと今のまま」だと思うとちがう気がする。
 
「もうイヤだ!」というほどではないけれど、なんとなく飽きてきたような、気だるいような……。
 
 
深刻な悩みを抱えているわけではない、でも「これからもずっとこのまま」じゃ物足りない。
 
そんな時期に、「憧れ」が効くのです。
 
 

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(3)憧れのサイン。生活の中にある、やわらかな光景

 
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