HSP・繊細さんの映画を見て

繊細さんの映画とは

繊細気質について書かれた書籍『ささいなことにもすぐに動揺してしまうあなたへ』の著者、アーロン博士とHSP財団が主体となり作成された映画です。タイトルは“Sensitive–The Untold Story”. 2015年9月、米国サンフランシスコでプレミア試写会が開催されました。繊細の森でも、以前こちらの記事にて紹介しました。

映画の内容について

映画の本編は、Highly Sensitivity(繊細気質)に関する最近の研究の紹介や、アーロン博士や研究者のインタビュー、HSPs(繊細さん)である経営者やアーティストのインタビューから構成されています。映画は2015年9月に期間限定でWEB配信され、現在は終了しています。DVD化や英語以外の言語への翻訳予定もあるようですが、詳細な予定などは未だ公開されていません。

公式ブログでメイキングの様子の写真が公開されています。また、今回配信された映画では、映画本編に加えてプレミア試写会の様子も併せて配信されました。プレミア試写会の様子は、こちらの公式ブログからも見ることができます。

いずれのページも、写真がメインなので、英語が得意でない方でも、雰囲気を知ることができると思います。

映画で紹介される繊細気質

映画では、繊細なひと特有の気質(Sensitivity)について紹介されています。例えば、以下のようなキーワードが挙げられていました。

  • Depth of Processing: 考えることが深く、細かなこともよく考える
  • Over Stimulation: 周囲の環境や状況に圧倒されやすい
  • Emotions and Empathy: 感情的な反応や共感が起こりやすい
  • Sensitivity of Stimuli: 刺激に反応しやすい

考えることが深いため、過去の経験をつなぎあわせたり、自分にしかできないような独創的なアイディアを産むことも多いのですが、決してアーティストになるだけが繊細気質の活かし方ではないようです。

例えば、「相手自身が気づいていないようなことに気づく」ため、より良いコミュニケーションが出来たり、人や組織にとっての危険を察知する能力があるようです。

一方で、実際に繊細なひとが直面する問題として、以下のようなことが描かれていました。

家庭の問題

例えば、親が子供の繊細気質(HSP)を理解できない場合に衝突が起こります。映画では、イメージ例として、繊細な子供に対して「外へ出てスポーツをしろ!どうしてできないんだ!」と怒る父親と、「あの子はあなたではないの」とそれをたしなめる妻の様子などが描かれていました。

仕事の問題

仕事での問題に直面する繊細さんも多いようです。実際に、オフィスに人が多いことやオフィスが明るいことに耐えられず会社を辞め、夫と共にDailyOMという会社を立ち上げた女性のインタビューや、自分のよく気がつく繊細さを社員とのコミュニケーションに活かす経営者のインタビューなどが描かれていました。

※DailyOMを立ち上げたMadisyn Taylorさんのインタビューについてはこちらの記事からも見ることができます(英語のみ)。

繊細気質をもつHSPなひとは、自営業や経営者など自分でビジネスを始めることが向いている、という場合も多いようです。

繊細さは人間だけのものではない

今回の映画で、特に面白いと感じたのは、「繊細気質を持つのは人間だけではない」ということです。

猿や犬、馬などの繊細気質を研究する研究者がおり、どのような種にも繊細気質を持つ個体が20%いるのではないか、という見方があるそうです。

例えば、犬であれば狩りをしなければいけないのですが、繊細な犬(Highly Seneitive Dogs)は狩猟には向いていません。種の繁栄には、狩猟が得意な犬が多いほうが良さそうに思うのですが、実際はそうではないそうです。危険を察知できる個体が一定数いたほうが結果として良い、ということなのだと思います。

人間社会では、外向的でバリバリと動くことが良しとされがちです。他の生物ではどのような役割を繊細さんが果たしているのか、を調べることにより、繊細さの活かし方のヒントが得られるのでは、と思っています。

繊細気質をどのように活かすか

家庭や仕事で問題を感じる繊細さんは多く、それは日本だけではないようです。繊細気質を持たないひとには十分に理解されないことも多いですが、繊細さんはどのように繊細さを活かしていけば良いのでしょうか。

具体的な処方箋についてははあまり触れられていませんでしたが、映画の最後に “HSPs must value themselves”という印象的なメッセージがありました。

“value themselves”の解釈は色々あると思いますが、私は「自分たち自身の価値を認め、発揮しよう」ということだと解釈しました。

繊細さんが繊細さを認め、その繊細さを活かせば、繊細さやHSPという概念についてももっと広く知られるようになり、かつ重宝されるようになるのではないか、と考えています。

では、繊細さんは具体的にどうすれば良いのか?その方法は、色々なひとが模索をはじめたところかと思います。繊細の森でも、「繊細さを大切にし、活かすには」を定期的に発信していきたいと考えています。

※繊細の森について

繊細の森では、内向的で感受性が豊かな「繊細さん」を応援しています。自分らしく進むためのヒントをコラムとして発信したり、繊細さん同士がつながる場所としてイベントの開催繊細さんリンク集の公開を行っています。また、定期的なメルマガの配信や、繊細さんならではの悩みを相談できる相談室も行っています。気になったコンテンツを見てみてくださいね。

(繊細の森・森番つりー)